学会概要
ご挨拶
この度、日本皮膚免疫アレルギー学会の理事長に就任いたしましたことを、大変光栄に存じております。本学会の長い歴史と、皮膚科学およびアレルギー分野への多大な貢献を振り返り、その重責を改めて感じております。
本学会は、抗原研究会と中部パッチテスト研究班から発展し、2017年には皮膚脈管・膠原病研究会と統合して誕生いたしました。皮膚を介した免疫・アレルギー反応に関する基礎研究から、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、薬疹、職業性皮膚疾患、食物アレルギー、膠原病といった多岐にわたる疾患領域に至るまで、幅広い関心を持って取り組んでおります。
皮膚免疫・アレルギーに関する臨床と研究は、近年飛躍的に進展しています。アレルギーは、衣・食・住といった日常生活に深く関わる問題であり、時代や生活様式の変遷とともにその病態や新興アレルゲンも変化し続けています。アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、膠原病、そして稀少免疫アレルギー疾患に対しては、皮膚病変を手がかりにした病態解明や新たな治療法の開発が進んでおります。本学会は、これまでの歴史的背景を踏まえつつ、現代に即した最新のアレルギー知見を発信し、皮膚免疫アレルギー学の発展とその診療の質的向上および社会貢献に努めてまいります。また、皮膚免疫アレルギー診療に携わる医療従事者および研究者にとって、最新かつ適切な医術や技術を学ぶためのプラットフォームとしての役割を果たし続ける所存です。
未来を担う若手や皮膚免疫アレルギーのエキスパートを目指す医療従事者のための皮膚テストハンズオンセミナーや学術大会内企画などの教育活動、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹・肥満細胞、薬疹、食物アレルギー、職業アレルギー、膠原病・リウマチ、基礎研究の各専門部会でのさまざまな活動、施設・分野を超えた共同研究、新たに発足したチーム医療検討委員会による医療の質向上や働き方の改善など、これまで学会が行ってきた事業をさらに活性化させ、皮膚免疫アレルギー学の発展に寄与してまいります。
また、本学会はグローバル化にも力を入れており、英文機関誌『Journal of Cutaneous Immunology and Allergy (JCIA)』をオープンアクセス誌としてFrontiers Publishing Partnershipsより発行しております。本誌にはimpact factorも付与され、新たな一歩を踏み出しました。これもひとえに会員の皆様のご理解とご協力の賜物と深く感謝申し上げるとともに、今後も本誌のさらなる充実・発展のために引き続きご助力いただけますと幸いです。
設立の趣旨
日本皮膚アレルギー学会と日本接触皮膚炎学会は、ともに皮膚アレルギー疾患を対象とする学会であるという視点にたち、1996年ころからその統合についての構想が始まった。1998年に両学会統合に向けての合同委員会が設立され、統合に向けていくつかの問題点を解決し、2000年から「日本皮膚アレルギー学会・日本接触皮膚炎学会学術連合」という名称を各々の学術大会で使用することとし、雑誌も相互乗り入れる形とした。2005年、2006年と合同学術大会を開催した後に、2007年4月1日日本皮膚アレルギー学会と日本接触皮膚炎学会は統合され、日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会として、新たに出発した。
本学会が対象とする領域は、接触皮膚炎、薬疹、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、職業性皮膚疾患、食物アレルギー、膠原病など皮膚アレルギー疾患全般にわたる。